テストツールの導入がソフトウェア品質の向上に有効であるとわかっていても、「なんとなく欲しい」では組織としてテストツール導入の合意は得られません。
「なぜ導入が必要なのか?」「導入によってどのような効果が得られるのか?」をステークホルダーに説明できないといけません。
しかし、導入効果を示すための王道がないのも事実。
テストツールを導入したい組織によって環境や考え方が異なるからです。

エンジニア :このテストツール、とっても便利そう。ぜひ導入しましょう。
マネージャー:じゃあ費用対効果のわかる資料を提出してくれる。
エンジニア :(えっ、どうやって出せば)・・・。

テストツールの導入検討中によくある光景ではないでしょうか。
そこで今回はテストツール導入のROI(投資対効果/投資収益率)をどのように考えればよいのか、ご紹介していきます。

「なんとなく欲しい」では導入できない。

「導入=投資」です。
テストツールの導入がソフトウェア品質の向上に有効であるとわかっていても、「なんとなく欲しい」では組織としてテストツール導入の合意は得られません。
「なぜ導入が必要なのか?」「導入によってどのような効果が得られるのか?」をステークホルダーに説明できないといけません。
しかし、導入効果を示すための王道がないのも事実。
テストツールを導入したい組織によって環境や考え方が異なるからです。

〇組織で異なる環境や考え方
● 開発規模(ソースコード量、メンバー数、予算など)
● テストツール導入が必要な理由や期待する効果
● 抱えている課題
● 重要視される観点 など。

そこで、導入効果の基本的な考え方を知る必要があります。
「テストツールが高い」という人ほど、
・テストツールの価値で、価格を判断していない
・自分でなんとかできる予算を越えれば「高い」という
・投資対効果の基本的な考え方を知らない
という傾向が強いです。

では、そもそも、どうしてテストツールを使うのでしょうか。
まずはここを整理しましょう。

〇一般的なテストツール利用のメリット
● 反復作業の減少
● テストサイクル時間の削減(例えば、自動回帰テストの使用による削減、など)
● テスト実行コストの削減
● 特定のテストタイプにおけるテスト実行数の増加
● 人的エラーの減少
● さまざまなテストデータにアクセスする工数の削減(テストツールにより生成されたレポート や メトリクス。テストケース や テストスクリプトの再利用、など)
● 実施可能になるテストタイプの増加(いままで測定できなかった性能データの取得、など)

「立場」が変われば「視点」も異なる。
〜テストツール導入の代表的なステークホルダーと関心事〜

企業としてテストツールを導入する際、導入決定には複数の部署、人間が関わってきます。
それらのステークホルダーには、いろいろな立場の関係者が含まれており、それぞれの立場で関心事も異なります。
テストツール導入のためには、多くの場合、プロジェクト層からビジネス層への提案が必要であり、その関心事をカバーする必要があります。

▼ビジネス(経営層)
投資対効果重視・・・投資するだけの価値があるか?

・プラスのROIがあること
・ビジネス上の価値があること

▼プロジェクト(マネージャー)
効率化重視・・・どんな技術的課題が解決できるのか?

・QCD観点におけるテストツールの効用が明確であること
・導入にかかるコスト、テストツールの投資対効果が現れるまでの期間が明確であること
・テストツールを使用する開発フェーズ及び開発プロセスが明確であり、実現可能であること

▼ツール利用者(エンジニア)
機能 / 効果重視・・・必要な機能があるか?作業がラクになるか?

・自分のタスクをより効率的及び効果的に行えること
・最小限のストレスでテストツールを学習できること

テストツールの「導入効果」をQCDの観点で整理してみる。

テストツールの導入効果を、QCDの観点から整理してみます。
そうすることで、ステークホルダーに合わせたROIの算出がしやすくなります。

▼Quality(品質を向上させたい)
品質リスクの軽減

欠陥の市場流出を防ぐことで、市場バグ対応の損失を防ぐ。
ここで言う損失とは、機会損失、回収コスト、損害賠償、コンプライアンス違反、ブランドイメージダウン、サポートデスク費用、など。

▼Cost(コストを削減したい)
開発コストの削減

テストツール導入前後での作業工数から金額換算できる。
削減できる工数とは、テスト実行工数の削減、欠陥修正工数の削減、欠陥検出工数の削減、など。

▼Delivery(スピードアップしたい)
作業効率の上昇

納期の遵守、早期の製品リリースなどから創出される間接的な効果であり、必ずしも数値化できるとは限らない。
たとえば、早期出荷によるビジネスチャンスの拡大、開発における透明性の向上、コーディング技術の向上、より良いチーム管理、開発者の仕事に対する満足度の向上、など。

ROIを提案するときのポイント

ROIを算出するときには、「削減」ばかりに目が行きがちですが、費用プラス分があることも忘れてはいけません。
また、直接的な削減効果だけでなく、削減によって発生する「さらなる効果」もあるはずです。
これらを踏まえながら、トータルでのROIを提案しましょう。

▼費用プラス要因(+)
● テストツール購入費用(初期導入費、保守更新などのランニング費、など)
● 導入準備工数(テストツール選定にかかる工数、評価工数、環境構築工数、など)
● トレーニング(テストツール操作方法の習得、セミナー参加費、運用ルールの構築、など)
▼費用マイナス要因(−)
● 品質リスクの軽減
● 開発コストの削減
● 作業効率の上昇 / 今まで不可能だった作業を可能にする
※詳細は上述のQCD観点による「導入効果」を参照のこと。
▼さらなる効果
● 削減できた工数で何ができるか?
● どんな間接的な効果があるのか?

さいごに・・・

いかがでしたでしょうか。
テストツール導入のROIを考える上では、
・ステークホルダーごとに関心事が異なること
・QCDの観点で「導入効果」を整理すること
・プラス分も含めたトータルでのROIを提案すること
をご紹介しました。
テストツールの導入をお考えの皆様の参考になれば幸いです。

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