こんにちは!

2025年7月11日(金)に秋葉原UDXで開催された弊社主催の「ユーザーズカンファレンス2025」で発表いただいたユーザー様の事例をダイジェストでご紹介します!

韓国から来日いただいたのは、韓国におけるDT+製品の公式販売代理店であるMDS Tech社の セールスのサンウォン氏(右)と技術サポートのミンギ氏(左)です。

事例発表を行うサンウォン氏とミンギ氏

MDS Tech社は、韓国を代表する組込みシステム開発向けのソリューションプロバイダーであり、 リアルタイムOS、組込みLinux、AUTOSARなどのプラットフォーム技術を複数取り扱い、開発ツール(デバッガ、シミュレータ、コンパイラ)やテスト自動化ツールの提供もしています。 組込み及びIT分野において、約70のパートナー企業を有しており、自動車、防衛・航空、デジタル機器、政府/研究機関、大学などの幅広い分野にサービスを提供する企業です。

2人は、組込みソフトウェア開発ソリューションを提供する部門に所属し、ツール販売のみならず、ソリューション開発、コンサルティング、インフラ整備、開発トレーニング、マーケティング支援を提供しています。

今回は、「韓国におけるDT+の使用事例」として、いくつかの産業ごとの活用と 要求の高まるコードカバレッジ計測を実現しやすくするための工夫を紹介してもらいました。

 

厳格なカバレッジ要件を実現するDT+Traceの汎用性

航空宇宙分野のソフトウェアは複雑化し、信頼性・テスト要件は、著しく向上しています。 人命に関わるソフトウェアということもあり、すべての開発ツールと開発者は、韓国政府から文書や仕様書が提供され、「コードカバレッジ 100%の達成」を要求されるとのこと。 カバレッジのエビデンスは、極めて重要かつ不可欠な要素となっています。

コードカバレッジ100%となる検証をするためには、複数ベンダーの協業、複数のプロジェクトで構成される大規模な開発、各ベンダーとそれぞれが開発する装置により、CPUや開発環境が異なることが課題となります。そこで、CPUやコンパイラに依存せずに、動的テストによるカバレッジ計測を標準化できる点が、DT+Traceの強みとなります。

航空宇宙分野でのコードカバレッジレポート
 

ECUのリアルタイムな処理時間の分析

自動車メーカーは、各サプライヤーが採用する異なるOSで作られたシステムのタイミング機能の社内検証を実施する必要があります。そのため、各サプライヤーも、各ECUのOSEK/AUTOSERのタイミング機能を検証する必要があります。

ECUに対して、DBOX+Traceを使用して、GPIO接続で実行経路をトレースすることで、タスクの処理時間の計測やRTOSのコンテキストスイッチの切り替わりを計測することで、詳細なタイミングを解析することができます。

自動車タスク実行時間の分析図
 

オーバーヘッドに依存しないカバレッジ計測環境の構築

カバレッジ計測のために、網羅的にテストポイントを挿入した場合のオーバーヘッドにより、ターゲット機器の処理・挙動に遅延や異常が発生してしまうことが課題となります。その解決のために、JTAGデバッガーとDT+Traceアプリの併用を提案します。

韓国でもメジャーなJTAGデバッガーである「Trace32」は、MDS Tech社でも取り扱いがあります。「Trace32」をデータトレースの物理的なインターフェースとして、「高速データ交換(FDX)」と呼ばれる機能で、ターゲット機器とホストPC間の高速なデータ転送が実現可能となります。

つまり、オーバーヘッドを大幅に削減したことで、リリース版により近い状態で、動的なカバレッジ計測ができるようになります。

DT+TraceとJTAGデバッガの併用で強化されたコードカバレッジ
 

まとめ

韓国における航空宇宙分野では「カバレッジ100%必達」という厳格な要件があり、 他の主要産業においても、同様の要件が求められる流れが来ているとのことで、 グローバルにカバレッジ要求もより高くなることが示唆されました。

また、エンジニアにとって難易度の高い要件に対して、DT+Traceがハードルを下げて、 目標を達成しやすくする価値があることを示してもらいました。

  • DT+Traceで、カバレッジ計測が標準化できる
  • CPUやコンパイラに依存が無く、システムのタイミング解析ができる
  • DT+TraceとJTAGデバッガーを併用すると、オーバーヘッドを大幅に削減できる

余談ですが、MDS Tech社とのお食事会で、日本の最新アニメが、リアルタイムで韓国でも大人気らしいです。文化やスタイルは違えども、価値あるものは、市場に受け入れられるみたいですね。 「DT+Trace」も国境を越えて、ファンが増えていくこと、今後も国際交流ができることを期待します。

【ブログ内で紹介した講演が動画で見られる!】

DT+ユーザー活用事例動画
DT+Trace および JTAG デバッガを使用したメモリダンプに基づいてコードカバレッジを測定

本動画では、韓国のソリューションプロバイダーMDS Tech社によるDT+とJTAGデバッガの連携活用事例を通じて、動的カバレッジ測定をCPUや環境に依存せず標準化する手法や、車載ECUにおける処理時間の詳細な分析方法を実例を交えて解説します。
※本講演は英語での講演となります。