2026年7月24日(金)、秋葉原UDXカンファレンスにて「組み込みソフトウェア品質向上セミナー 2026」が開催されました。

ハートランド・データも本イベントに出展・登壇し、組込みLinuxの非機能要件の可視化と品質担保をテーマにした講演を実施。展示ブースでは実機テスト自動化のデモ機を展示し、開発中の「DT+Portal」のアルファ版も初めて披露しました。

本記事では、講演と展示ブースを中心に、当日の様子を振り返ります。会場に足を運べなかった方にも、組込み開発の品質を高めるヒントをお持ち帰りいただける内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

 

「組み込みソフトウェア品質向上セミナー 2026」とは?

「組み込みソフトウェア品質向上セミナー」は、製品の高度化・ネットワーク化にともなうソフトウェア品質や開発効率、セキュリティといった課題の解決を目指す、ユーザー企業のための専門セミナーです。

今年は「AI時代の要件にも対応する最新開発ツール」をテーマに、開発・検証ツールやテスト自動化、セキュリティ、CI/CDなど、さまざまな領域のベンダーが一堂に会しました。

組み込みソフトウェア品質向上セミナー2026の会場風景

当日は、組込みソフトウェアの品質向上に関心を持つ方々が来場し、各社の講演に真剣に耳を傾ける姿が印象的でした。

ハートランド・データが今回お伝えしたかったのは、組込みLinuxをはじめとする複雑なシステムにおいて、実機上で非機能要件を確実に検証し、品質を担保していくための考え方です。その具体的な方法をお伝えするため、講演とツール展示の両面から本イベントに参加しました。

 

講演レポート:組込みLinuxの非機能要件を可視化する

まずは、講演の様子からご紹介します。
当日は「組み込みLinuxのプロセス解析で実現する、非機能要件の可視化と品質担保の手法」と題して、実機上で動作するシステムの挙動を可視化し、プロセス解析に必要な知見の属人化を抑えながら、非機能要件を検証する手法についてお話ししました。

組込みLinuxの非機能要件可視化と品質担保をテーマに登壇するハートランド・データの講演の様子
 

なぜ組込みLinuxの「非機能要件」は後回しになりがちなのか

機能が仕様通りに動くかどうかはテストで確認しやすい一方、処理時間やCPU使用率、プロセスの挙動といった「非機能要件」は目に見えにくく、検証が後回しになりがちです。リリース直前になって性能問題が表面化し、原因調査に多くの工数を費やしてしまう。組込みLinuxの開発現場では、そんな悩みをよく耳にします。

講演の前半では、マルチコアSoCの普及による大規模化・複雑化、そしてコード生成AIの普及でこの検証がいっそう難しくなっていくという背景を掘り下げました。今回のイベントテーマである「AI時代」にも重なる問題提起です。

 

プロセス解析で「見えない挙動」を可視化する

こうした課題への答えとして講演で紹介したのが、実機のプロセス解析によって「見えない挙動」を可視化し、品質担保につなげるアプローチです。

具体的には、動的テストツール「DT+(ディーティープラス)」のトレース機能を使います。関数レベルの動きからプロセスの遷移、カーネルの動作まで、Linuxシステム全体のふるまいを計測し、CPU負荷の推移やプロセスの動きを時系列で追いかけられます。

このトレース機能は、いわば「システムのドライブレコーダー」です。走行中の映像を常に記録しておき、事故が起きたら後から映像で確認する。それと同じことを、Linuxシステムに対して行えます。障害が起きた瞬間を含む全体の動きがスナップショットとして残るので、「そのとき内部で何が起きていたのか」をデータで振り返ることができます。

ここでは触れきれなかったその他の機能や活用事例については、製品ページで詳しく紹介しています。気になる方は、ぜひご覧ください。

動的テストツール「DT+」の詳細はこちら →

 

計測を続け、変化を数値で捉える

さらに講演の後半では、こうした計測を一度で終わらせず、開発の進捗にあわせて続けていく考え方をお話ししました。スナップショットデータをバージョン間で比較し、感覚ではなく「数値化された変化」で品質を判断する。このデータ駆動型のアプローチを支える新しい仕組みとして、現在開発中の「DT+Portal」もあわせて取り上げました。

今回の講演でお話しした、非機能要件の考え方からスナップショットによる可視化、バージョン比較による検証の流れまでの内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。講演をじっくり振り返りたい方も、これから知りたい方も、ぜひご一読ください。

組込みLinuxの非機能要件とは?プロセス解析で見えない動作を可視化

機能テストだけでは見えない組込みLinuxの「非機能要件」。実機の振る舞いを記録・数値化し、バージョン間の差分で性能劣化を早期検知するデータ駆動型の品質担保アプローチを解説します。

 

展示ブースの様子

講演とあわせてご覧いただいたのが、展示ブースです。今回は、講演で解説したDT+による解析を実際に動くかたちで見ていただける、実機テスト自動化のデモ機を用意しました。

DT+とAUTOmealを組み合わせた実機テスト自動化デモ機の展示ブースの様子

再現しているのは、実機テスト自動化と動的解析を組み合わせた検証フロー。

その中心となるのは、組込み機器の操作や計測などを自動化し、実機テスト環境の構築・運用を支援するテスト自動化プラットフォーム「AUTOmeal(オートミール)」です。Linux OSで動作するテスト対象機器に対して、AUTOmealと連携した協働ロボットアームが物理操作を代行します。

テスト自動化プラットフォーム「AUTOmeal」の詳細はこちら →

その裏側では「DT+」がプロセス情報を収集しており、コードをプッシュすると、機能検証の合否判定から非機能検証用データの解析までが自動で揃います。ここまでの一連の流れを、来場者の皆さまの目の前で実演しました。

CI/CDと連携して計測を続けることで、性能劣化やバージョン間の変化にいち早く気づける。この考え方を支える仕組みとして、講演の後半でご紹介したDT+Portalのアルファ版もDT+の画面であわせてお見せしました。

 

まとめ

最後になりましたが、講演をお聴きくださった皆さま、ブースで足を止めてくださった皆さまに、心よりお礼申し上げます。

AIの活用で開発スピードが上がっていくこれからの時代、目に見えにくい非機能要件を早い段階で可視化し、データで品質を担保していくことの価値は、ますます高まっていくはずです。ハートランド・データは今後も、安心してリリースへ向かえる開発環境づくりを支援してまいります。

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