先日、ハートランド・データでは、アジャイル開発の達人であり、永和システムマネジメントの社長である 平鍋健児さんを講師にお招きし、「デジタルビジネスの潮流とアジャイル開発 ~ビジネスとエンジニアの協働チームづくり~」というテーマで講義を行って頂きました。開発部門の社員だけではなく、営業部門、総務部門の社員も参加し、部署の垣根を超えて”アジャイル開発の考え方”、”実践方法”を学びました。

今回の記事は、ちょっと『動的テスト』の話題から外れ、この講義の様子を少しだけレポートします。

株式会社永和システムマネジメント 代表取締役社長
株式会社チェンジビジョン 代表取締役CTO
平鍋 健児 氏

1989年東京大学工学部卒業。3次元CAD、リアルタイムシステム、UMLエディタJUDEなどの開発を経て、オブジェクト指向技術、アジャイル型開発の実践する「見える化」コンサルタントとして活躍している。

なぜアジャイルか?

はじめに、なぜ『アジャイル』という考えが起こって来たのかということを、従来ソフトウェア開発の現場で採用されているウォーターフォール型と対比して解説頂きました。

従来のウォーターフォール型のビジネスモデルには2つの問題があるそうです。
まず1つ目は、作ろうと決めてから市場に出るまで時間がかかること。それによって、市場の変化や競合の登場で、作ったものが市場に出る前に劣化してしまうそうです。

2つ目は、各部門が分断されているため、IT部門のミッションが「仕様書に書かれているものを納める」ことになってしまうということ。そのため、IT部門から見て「もっとこうしたら良くなる」「この機能は必要ない」という視点が抜け落ちてしまうとのことでした。

一方、アジャイル開発はというと、使わないものにはお金を使わないという考えが根底にあり、できるだけ早く市場に出してフィードバックをもらい、要求を変える、追加する、捨てる…を繰り返して、より使われるモノをつくる…そのような考え方から発生したそうです。

開発プロセスとしてのアジャイル開発

続いて、具体的に開発プロセスとしてどのようにやるのかというお話をしていただきました。
ウォーターフォールでは開発期間の最後に動くものが完成するのに対して、アジャイルでは例えば1週間ごとに重要な要件を選び、分析・設計・実装・テストまで行って動くものを作成。それを繰り返して1ヶ月くらいのところでユーザーに見てもらい、最初の要件を並び替えたり、捨てたり、新たに要件を追加したりしながらまた開発をスタートさせる、というように進めるそうです。

なお、「アジャイルを全ての開発で適用すればいいか」というとそうではなく、要求が時間軸で変化するような開発に向いているとのことでした。

また、他にも様々な手法を紹介いただきましたが、アジャイルの価値と原則に従っていれば必ずしもこうしなければいけないという決まりがあるわけではなく、それぞれの会社やプロジェクトに応じてやり方が変わって良いというお話も伺うことができました。

アジャイル開発の現場

では、具体的にアジャイルを取り入れようとしたときに何からはじめるのか?平鍋さんは「プロジェクトの見える化からはじめましょう」と仰っているそうです。
どのような見える化の手段があるのか、他社さんの事例など紹介いただきました。

教えて平鍋さん!

講義の最後には、弊社社員との質疑応答の時間を設けさせて頂きました。「開発前に仕様を固めないアジャイル開発で、見積はどのように計算するのですか?」「アジャイル開発におけるドキュメントはどのような目的で作るべきですか?」といった、具体的な質問が活発に飛び交っていました。

セミナー終了後も、平鍋さんを取り囲んで質問をする若手社員の姿が見られました。アジャイル開発の具体的なお話を今回平鍋さんにお話しいただいたことで、「こんなこともできそう」というアイディアがたくさん出てきたようです。
また、弊社の動的テストツール開発で活用している”カンバン”を直接見て頂き、率直なご意見を頂きました。マスキングテープを使ったタスク所有者の色分など、自分たちが使いやすいように改善している点をお褒め頂き、担当者も思わずニンマリ。

まとめ

2時間の講義でしたが、会場が笑いに包まれるような場面も多々あり、楽しみながらお話を伺うことができました。アジャイル開発の考え方は日常の仕事にも生かせそうな部分もたくさんあります。ご興味のある方は以下のリンクより関連サイトをご覧ください。

関連リンク

 株式会社永和システムマネジメント https://www.esm.co.jp/
 株式会社チェンジビジョン http://www.change-vision.com/
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