弊社では組込み機器向けテスト自動化環境の構築をサポートする業務を行っております。最初のご提案から3年が経過して、おかげ様で提案や採用実績も増えて、現在は「DT-Assistant」として、ツールの導入から運用、プロセス改善などソフトウェアテスト全般におけるお客様の課題を解決するためのソリューションサービスを展開しています。特に皆さんが注目する「テスト自動化」に関して、先月・今月と行われた組込み開発向けの展示会では、新しい自動化システムを出展させてもらいました。

 

提案における課題

要求の把握はムズカシイ

「自動化ってどうやるのか?」「どういったことがどのくらいの費用でできるの?」「どのくらいの効果があるの?」といったお客様のご質問を良く耳にします。我々には、いくつかの自動化の手段をご提案することはできますが、費用感については、自動化の適用範囲や細かなツール仕様によって、大きく変わってきます。概算のために、お客様と我々で要求・要件を明確化・共有化していく作業には、どうしても時間が掛かります。使う人や使う状況をもっと理解して、ホントに必要な機能や適切なSpecでの提案をしたいと我々は考えます。アプリのUIにしても、使う人の立場、やりたいコトによって、どこまでの操作をどのように実現させるべきなのか?無駄となる過剰な機能を実装しないためにも、十分な検討が必要となります。

たたき台となるモデルが欲しい

今まであるようで無かった、そんなテスト環境の要求を検討するには、やはり何かしらのモデルが必要に感じます。我々のご提案する内容とお客様のやりたいコトの間にあるギャップを埋める作業を互いに効率良くするためには、我々が実現可能な自動化システムをまずカタチにしたものを見てもらい、触ってもらうことも、近道の一つではないかと考えました。我々の提案の理解を深めていただくこと、要求・要件検討するための比較対象として、良くも悪くも評価していただくこと、可能であればお客様が自動化する一部の作業だけでも組み込んで活用してもらうことを考えて、お客様にとって手軽で、すぐに提供できるものとして、安価で入手しやすいラズパイで自動環境を構築してみることにしました。

 

ハートランド的組込み機器向け自動化とは?

我々はテスト用ハードウェアユニットを介して、テスト対象となる組込み機器を自動操作するシステムをご提案しています。これらの内容を10月開催のESEC2019秋(組込みシステム開発技術展),11月開催のET2019(組込み総合技術展)では、ブースプレゼンや実機デモの展示をさせてもらいました。そこでテスト自動化に興味を持つ多くのお客様との意見交換を行うことができました。

システム概要

ラズパイ本体に、テスト対象と接続するためのインターフェースとなるIOボードをスタックして使用するシステム構成です。専用のアプリケーション上で設定したテストケースによって、ラズパイを制御します。
また、テスト対象が出力する信号もラズパイで計測します。もう少し具体的な内容は、今後予定のオンラインセミナーでご紹介します。

どんな制御ができるか?

専用ハードウェア(ラズパイ+IOボード)で、テスト対象を制御する疑似信号を生成し、繰り返し再現します。

図2 テスト対象を自動操作する

どんな計測ができるか?
テスト対象のボードでプロービングした信号や通信を長時間モニタし、ログ保存します。計測値の判定はしません。

図3 テスト対象の信号を計測する 

 

お互いにいろんな気づきもありました

展示会では、お客様がどのような反応をするのか?どのようなものを求めているのか?半信半疑な部分がありましたが、お客様も我々もお互いに気づきを得ることのできた良い機会であったと思います。
お客様からいただいたご意見は、ぜひ今後の開発の参考とさせていただきます!!

「テスト対象をEthernet通信でドライブしたい。」

確かにIoT関連の機器開発においては、疑似ドライバとして、単体でのデバッグやシステムテストの自動化などで活用できる機能になりそうですね。シリアル通信だけでなく、EthernetやUSBでの制御ができないか?といったご質問をいくつかいただきました。Ethernet通信であれば、テキストに記載した送信データを出力するといったことは、きっと容易ですね。

「既にHILSを持っているけど、テストケース作成がタイヘン」

テストエンジニアの誰もが抱える課題ですね。やはりパターン数がかなり多いので、かなりの工数が掛かるようです。申し訳ないですが、直接的なソリューションはご用意できていません。将来的には、システムの要件や設計情報の管理も含めて、そこからテストケースをうまく生成できる方法とか検討してみたいところです。ホントに、できるのか…!?

「複数台のラズパイを同時制御して、複数のテスト対象を同時に試験がしたい。」

テストの時短にもなりますし、使いこなしてくると、将来きっと欲しくなる機能になりそうです。さらに複数のテスト対象の計測データの比較解析をAIなんかで実現できるとオモシロそうですね。

「テスト自動化の予算の規模感を把握するのに使えそう。」

こういった小規模のもので、スモールスタートさせて、検証の上、改めて自動化環境構築を見積るのも良いとのご意見です。ありがとうございます! まさに、そう使ってもらうように考えているものです。

「電源切替の試験で使えるかも?」

なるほど、テストユニットの制御信号で直接的にテスト対象を制御するのではなく、テスト対象に入力するものをスイッチで切り替えるという発想です。早速、構想図(図4)を書いてみました。ラズパイによるテストユニットの出力にパワーリレーとそれをドライブする回路を追加することで実現可能と思われます。人の手によるバラツキを排除し、属人化しないテスト、繰り返し再現可能なテストが可能になりそうですね。例えば、短絡試験なども実現可能な範囲でしょう。

図4 リレー制御による外部入力回路イメージ

 

まとめ

今回、展示会でご提案した「ラズパイベースの自動化システム」は、来年2020年にはスモールスタートキットとして製品化を計画しています。
※2023年5月より、スモールスタートキットを引き継いだ最新プラットフォーム「AUTOmeal」として登場します。

お客様の声をもとに、一部の作業手順の自動化や今後の自動システム検討のための実現性検証やベンチマークとしての活用、及び デバッグツールとして活用いただけるようご提案内容のブラッシュアップを検討し、ブログ、セミナー等で今後も情報発信させていただきます。また、ご意見ご要望をお待ちしております。

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近年の組込み機器開発の現場では「テスト自動化」が進んでいます。
しかし、いざ自動化に取り組もうとしても、
「具体的な実現イメージが湧かない・・・」
「テストケースの作成段階では作る人によってバラつきが出てしまう・・・」
「ターゲットごとのテスト環境の構築が大変・・・」
といった課題をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

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