子どもがバスに取り残されてしまった…
という痛ましい事件が続発していますね。
そこで政府が送迎バスへ安全装置設置を義務付ける方針を発表しました。
どんなガイドラインとなるかは2022年11月時点では不明なのですが、
世間では、車載スイッチを押すとブザーが鳴るといったシステムをニュースで見かけるようになってきています。
育児世代がけっこう多い我々ハートランド・データにとっても他人事ではありません。
そこで、
うちで取り扱っているLoRaモジュールをつかえば、ほぼポン付けで導入できるものが作れるのではないか、
ということで実験的に作ってみました。
※車内に残っている生体を検出して心拍をモニタリングするシステムをつくってみた記事はこちら
CONTENTS
LoRaってなんだっけ?
LoRaとは、LPWA(簡単にいうと「めちゃくちゃ少ない電力消費なのにかなり長距離の通信ができる技術」)の一種です。
※LPWAの詳細はコチラの記事で解説しています。
LoRaには
・LoRaWAN
・プライベートLoRa
の2種類があるのですが、今回使用したのはプライベートLoRaのほうです。
LoRaWAN の場合はネットワーク構築にゲートウェイなどが必要になるのですが、
プライベートLoRa は独自のネットワーク構築が可能となっております。
ちなみにこのLoRaモジュール、ハートランド・データで取り扱っています。
国内電波法「技術基準適合証明 (技適)」取得済み。
最低2個のモジュールを購入するだけで双方向通信環境が構築できます。
LoRaなら、小型の電池で長期間、長距離通信をするシステムがかんたんに実現できます!
ハートランド・データのLoRaモジュールは920MHzの周波数帯を使用。
手続き不要でワイヤレスネットワークの構築が可能。
また、プロバイダを介さない独自のネットワークを作成するため、利用可能なエリア等に制限はありません。
LoRaモジュールの詳細はこちら
装置のしくみ
しくみをざっとご説明します。といっても本当にごく簡単なものです。
LoRaモジュール2台を使ってネットワークを構築します。
片方は車内用端末、もう片方は管理室内用端末と想定して設置。
![](https://hldc.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/11/LoRaServeySystem_OverviewStructure-1024x576.png)
車内用端末にはボタンがついていて、
これが押されたら管理室用端末に向けて信号を送信。
管理室用端末は信号を受信したら警報を発生させる、といったものです。
これを、モジュールをポンと置くだけ、電源以外の配線ナシで実現してみます。
実験してみた
とにかくすぐやってみよう、ということで、
社内にあるLoRaの実験機を2台使用しました。
箱っぽくなっているのが車内用端末(送信側)、モジュールそのままのが管理室用端末(受信側)です。
![](https://hldc.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/11/LoRaServeySystem_Modules-1024x768.jpg)
あらかじめプライベートLoRaのネットワーク構築設定は済ませておきます。
つづいて肝心の自動車。
送迎バス…はさすがに持っていないので、社用のVOXYをつかってみます。
VOXYの助手席側へ車内用端末を設置。といっても、ポンと置くだけ。
※今回、電源はモバイルバッテリーからとっていますが、シガーソケット用に改造することもできます。
![](https://hldc.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/11/LoRaServeySystem_OnDashboard-1024x768.jpg)
そして管理室用端末をUSBでPCに接続。
PC側ではアラームを出す即席アプリを起動しておきます。
PCアプリでは複数の端末を登録してモニタできるようにしてみました。
今回の実験に使用する車内用端末は「ライオンバス」として登録してみました。
![](https://hldc.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/11/d527620729fdba7876b8eaed6eb66d44-1024x767.jpg)
![](https://hldc.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/11/42c2f6ca67ca07f5efe4df6ac0bd849d.png)
ちなみに、管理室用端末から車内容端末までの距離は、直線で約35mくらいあります。
一般的な公的施設での駐車場から事務所までの直線距離を思うと、
実験環境としてまずまず適当な距離といえるでしょうか。
![](https://hldc.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/11/3.35m.png)
ちなみに、無線通信技術は、建物の材質によって通信できる/できないが分かれます。
たとえば鉄筋で出来た建物である場合、
WiFiではほとんど通信出来ませんが、LoRaであればほぼ通信できます。
(もちろん、通信機間の距離や、送受信端末間の見通しにある遮蔽物の種類など、いろんな環境要因が影響します)
準備が出来たところで、いざ試してみましょう。
といっても、ボタンを押すだけなのですが…。
車内用端末と管理室用端末、どちらも電源を入れて1分ほど待つと、自動でネットワーク構築が完了します。
※接続状態は端末についているLEDで確認できます。
接続が完了できてから、「ライオンバス」に設置した車内用端末のボタンを押してみると…
![](https://hldc.co.jp/blog/wp-content/uploads/2022/11/LoRaServeySystem_GIF.gif)
しっかり管理室のPCでアラートが表示されました!
ユーザーがする操作は、完全に以下の2つだけでした。
- 端末の電源を入れる(エンジンOFFとかと連動させることが出来そうです)
- 車内に取り残されてしまったことに気づいたらボタンを押す
なお、今回の実験での即席アプリでは画面にアラートを出すだけでしたが、
しっかり作り込めば、同じ原理でもっと積極的なアクションを起こすことが可能です。
例えば…
- 職員のスマートフォンに通知を流す
- 提携している警備会社に情報を流す
などなど。
まとめ
いかがでしたか。
車載型の発報装置をあっという間に構築することが出来ました。
しかも、LoRaの特性である省電力性能や長距離通信性能を活かせば、
・バッテリー式にして、車のエンジンがついている間に充電→駐車中はLoRa通信を継続
・車内GPSの情報を一緒に送信することで、バスの現在位置が管理室から一目瞭然
なんていう運用も。
さらにアプリを作り込むことで、よりスマートなシステムにすることができそうです。
なお、弊社ハートランド・データでは、
このようなシステムをまるごと開発する「システム受託開発サービス」をご提供しております。
モジュールの選定から設置まで全部おまかせはもちろん、
モジュール販売だけとか、アプリ開発だけとかでも結構です!
お困りごとの解決にITの力が必要になった際は、
是非ご協力させてください!
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