動的テストツール「DT10」は、2019年5月に10周年を迎えました。2009年のファーストリリースから現在まで、動的テストツール「DT」シリーズをご利用いただいた皆様に、心から感謝を申し上げます。今回のブログでは、10周年の節目ということもあり、DT10の機能向上の歩みを振り返っていきたいと思います。

DT10機能向上の歩み

DT10は、2019年5月現在、Ver.12.2.0 が最新版です。
2009年のファーストリリースからの主な機能向上をまとめましたので、ご覧ください。

上記に掲載しているもの以外も、この10年でたくさんの機能追加や改善を行ってきました。

すべては社内の「困った」からはじまった

ハートランド・データは、長年、組込み機器の受託開発に携わっていますが、その中で、開発の課題にぶつかることが多々あります。DT10の開発もこういった開発現場の「困った」からすべてがはじまりました。

社内での十分な使用実績を経て、2009年、バージョン1.0.0としていよいよ販売を開始。当時の対応言語はC言語のみ、また、接続方式も非同期バス接続・GPIO接続の2種類のみでした。組込み機器開発では、様々な環境で開発が行われます。DT10は、開発現場で本当に使えるテストツールを目指し、汎用性の充実に力を入れてきました。現在では、以下のような対応言語と接続方式が用意され、多くの組込み機器で活用できるようになりました。

○対応言語:C、C++、C#、Java

○接続方式
>DynamicTracer を使ってトレース:
・非同期バス接続
・汎用ポート接続
・Ethernet接続
・UART接続
・SDカードI/F接続
>PCで直接トレース:
・Ethernet接続
・UART接続
・CAN接続
>ファイルに書き出してトレース

また同時に、お客様の声を非常に大事にし、たくさんの機能追加を実現してきました。変数モニタや関数遷移スコープなどの人気の機能も、お客様のご要望がきっかけで追加されてきました。現在では、様々な機能を搭載し、不具合解析・パフォーマンス改善・カバレッジ計測など幅広いシーンでDT10を活用いただけます。

効率的な開発プロセスを目指し、「テスト自動化」へ

人為的ミスの軽減や人件費の削減のため、有効な手段として挙げられる「テスト自動化」。ハートランド・データでは、動的テストでも「テスト自動化」の適用は重要な課題であるとし、積極的に取り組んできました。

2013年にリリースされたDT10 Ver.8.0.0 では、DT10アプリケーションの操作をコマンドラインから可能にする機能(DTCmd)の実装を行い、その後バージョンアップを重ねて、テストレポートの自動挿入やテストレポート取得・解析など、様々な機能をコマンドラインから実行できるようになりました。そしてユーザー様にご提案したのが、CIツール「Jenkins」を使った動的テスト自動化のソリューションでした。

さらに、近年では、組込み機器に特化した自動テスト環境を構築するためのソリューション「DT-ACE」を開発、ご提案しております。「DT-ACE」は、組込み機器のテストの自動化で必要となる「ターゲットの駆動」、「挙動・状態の判定」、「テスト結果の報告」の3つの要素をサポートするソリューションです。
2022年1月現在では、後継のテスト自動化プラットフォーム「AUTOmeal」(オートミール)をご紹介しております。
「AUTOmeal」の詳細は、以下のページをご参照ください。
>テスト自動化プラットフォーム「AUTOmeal」

さらなる高みへ、機能安全規格「ISO 26262」のツール認証を取得

もう一つ、ハートランド・データが力を入れてきた取り組みをご紹介します。それは、機能安全規格「ISO 26262」のツール認証取得です。「ISO 26262」は、「IEC 61508」 を基にした車載電子制御の機能安全に関する国際規格です。ツール認証を取得済みのツールを利用することで、機能安全規格に準拠した電子システムを開発する企業での妥当性確認がより容易になります。

ハートランド・データでは、2016年に、動的テストツール「DT10 Automotive Edition」Ver.11.1.0 が、機能安全規格「ISO 26262」のツール認証を取得しました。この「DT10 Automotive Edition」は、「DT10」をベースとし開発された、機能安全規格「ISO 26262」に適合した動的テストツールです。SciTools社製の構造解析エンジンを搭載することにより、適切なテスト環境を効率的に構築することが可能です。

さらに、2017年にリリースされた「DT10 Automotive Edition」Ver.12.0.0 では、 MC/DC解析機能にも対応し、規格が求めるカバレッジを取得することが可能になりました。

▼DT10 Automotive Edition で計測可能なカバレッジ
・ステートメントカバレッジ(≒C0カバレッジ)
・ブランチカバレッジ(≒C1カバレッジ)
・関数カバレッジ
・コールカバレッジ(Caller/Callee)
・MC/DC

また、ハートランド・データでは、ツールの提供のみではなく、機能安全における効率的なテスト実施を支援させていただく、「DiET」というサービスも提供しております。ご興味がありましたら、以下のページから詳細をご覧ください。
>DiET(ダイエット:Dynamic test Efficiency Technique)

まだまだ進化は続きます

いかがだったでしょうか。この10年で、大きく進化を遂げてきた動的テストツールDT10。機能面にとどまらず、テスト自動化や機能安全規格対応などの様々なサービスを展開してきました。そして、現在ハートランド・データでは、次のステップ DT10 Ver.13.0.0 リリースに向けての準備を進めております。今後もお客様のご要望にお応えできるよう努めてまいります!

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動的テストツールDT+シリーズ

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